新しいオフィスの在り方として近年「アジャイルオフィス」に注目が集まっています。
アジャイルオフィスとは「状況や業務内容、プロジェクト、企画などに応じて柔軟に仕様変更ができるオフィス」を指します。
アジャイルオフィスは、柔軟な組織体制やコミュニケーションの活性化などで注目されるオフィスデザインとして多くの企業で導入が進んでいます。
多くの場合、賃貸事務所のように自由度の高いオフィス形態で導入されていますが、アジャイルオフィスのメリットを抽出し、小規模な組織でもアジャイルオフィスのような「柔軟性の高いオフィス」を実現するためにレンタルオフィスを活用する方法にも注目が集まっています。
本記事ではアジャイルオフィスの解説に加えて、レンタルオフィスを活用したアジャイルなワークプレイス作りについて紹介します。
アジャイルとは何か
IT業界やDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進している部門・組織であれば「アジャイル」という言葉を聞く機会は多いのではないでしょうか?アジャイル(agile)は「敏捷」や「機敏」といった意味を持つ言葉で、ビジネスシーンでは『状況・ニーズの変化・方針に合わせて柔軟に変化する・対応する能力』を指します。
アジャイルとは単なるビジネス用語ではなく、組織全体の指針となる原理・価値観・思想であり、ソフトウェア開発における手法であり、組織改革や働き方改革における手段となります。
応用範囲が非常に広く、ただ単に一貫性のブームとして消費されるような言葉ではありません。
アジャイルの中でも特に重要なのが「アジャイル思想」の中核である『アジャイル宣言』です。
アジャイルソフトウェア開発宣言では以下の要素を「価値」として定義しています。
- 「プロセスやツール」よりも「個人と対話」を
- 「包括的なドキュメント」よりも「動くソフトウェア」を
- 「契約交渉」よりも「顧客との協調」を
- 「計画に従うこと」よりも「変化への対応」を
このマインドはソフトウェア開発だけでなく、あらゆるビジネスシーンで活用され、現在様々な場面でアジャイルの思想を取り入れたモデルが主流となってきています。
アジャイルの価値観を取り入れた「アジャイルワーキング」
アジャイルの価値観を取り入れた働き方として「アジャイルワーキング」があります。
アジャイルの業務を進めるにあたって発生する様々な変化に迅速に対応する働き方として注目を集めています。
アジャイルワーキングの特徴として以下の点が挙げられます。
- プロジェクトを小さく分割して、柔軟に対応できるようにする
- オフィスレイアウトをプロジェクト・チーム単位で臨機応変に変更できる
- 素早く効率的に業務に取り組めるチーム体制
長期的なプロジェクトもアジャイルワーキングを導入することで、それぞれのワークスタイルに適した素早く柔軟な働き方が実現できます。
アジャイルオフィスとは
アジャイルオフィスとは前述したアジャイルワーキング及びアジャイル開発を実現し、従来の組織からアジャイル型組織に転換させることが可能なオフィスを指します。
具体的にはアジャイルワーキングに求められる「業務内容や状況・環境等に合わせて柔軟に仕様変更ができる」「コミュニケーションやレクレーションが起こりやすい」「状況に適した形で迅速にオフィスを活用できる」点を全て網羅しています。
アジャイルオフィスはアジャイル開発が主流となり、多くの企業がアジャイルの思想を取り入れた組織体制を導入したことで、注目を集めました。特に働き方開発や新型コロナウイルスの世界的流行によってオフィスの在り方そのものが変化したことが大きな要因となっています。
ABWとの違い
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)はその時々の状況に合わせて柔軟に働く場所を選択することができる働き方です。
例えば一人で集中したい時は、周囲から隔離されたワークスペースや自宅、サテライトオフィスなどで仕事をし、チームで動くときは会議室のような作業スペースを活用するといった働き方を指します。
レンタルオフィス等を活用してABWを実現している企業も近年増加傾向にあります。
ABWを実現するためには従来のオフィスとは異なり、様々な場所で仕事に取り組める環境づくりが求められます。
また、従業員個人のライフワークバランスに合わせて、働ける場所と時間の選択が可能な組織体制・評価制度・セキュリティ対策が求められます。
一見するとアジャイワーキング・アジャイルオフィスと同じ風に見えますが、自宅やカフェのような社外でも働く場所を選べるため異なる概念です。
アクティビティベースドワーキング(ABW)とは|新しい働き方の特徴とメリット
フリーアドレスとの違い
フリーアドレスとは従来のオフィスのように「固定の席」を持たずに、自分の好きな席・場所で働くワークスタイルです。
従業員はオフィス内を自由な場所で働けますが、ABWと異なりあくまでオフィス内だけになります。
こちらもアジャイルオフィスと同じように見えますが、アジャイルオフィスは『オフィス内のものも自由に動かす』ことができるため、物自体は固定されているフリーアドレスとは異なります。
アジャイルオフィスは「プロジェクト単位での理想のワークスペースを作る」ことができるのがポイントになるため、オフィス内の柔軟性が求められます。
ただし、プロジェクト単位で完全に物を動かせなくとも柔軟性や拡張性を持たせているフリーアドレスを採用しているオフィスも近年増えてきているため、アジャイルオフィスとの境界線が曖昧な事例も少なくありません。
スマートワークとの違い
ICTを活用することで、場所や時間に囚われずに就業できる働き方を「スマートワーク」と呼びます。
スマートワークはABWやアジャイルワーキングを実現するためには不可欠な技術やツールを活用することを前提としているため、多くの企業で導入が進んでいます。
アジャイルオフィス・アジャイルワーキングと近い言葉ですが、スマートオフィスは「場所や時間にとらわれない働き方」を実現するための方法です。
そのため、状況に合わせて理想のオフィスを作る「アジャイル」の思想を実現するために不可欠な要素という立ち位置となります。
アジャイルオフィスで実現できること
アジャイルオフィスはアジャイルな思想を取り入れた働き方・組織を実現するために重要な要素ですが、それ以外にも様々な理由で注目されています。
特に新型コロナウイルスの世界的流行やライフワークバランスの重要性、働き方改革の促進などを背景に既存のオフィスでは対応しきれない課題が浮き彫りになったことが注目度を加速させた大きな要因です。
ここでは具体的にアジャイルオフィスが求められる要因となった課題と、導入することで実現する改善について紹介します。
オフィスの役割の多様化
従来のオフィスは「社員が同じ場所で同じ時間に働くための場所」としての役割が大きく、一箇所に主要な機能や人材を集めるのが主流でした。
しかし、近年になってICT技術の発展及び普及によって働き方に柔軟性が生まれ、必ずしもオフィスでなければ仕事ができないわけではなくなってきました。
多様化する働き方に対して従来の価値観で設計されたオフィスでは対応しきれなくなり、結果としてパフォーマンスの悪化を引き起こす要因となりました。
それらを改善するために「テレワーク」の導入や「サテライトオフィス」の設立など様々な施策が登場し、現在は多くの企業がワークスタイルの多様化を実現しようと奮闘しています。
そうした中、オフィスそのものの役割も多様化が生まれ、利用する人によってオフィスに求める役割が変化してきました。
特に「コミュニケーション」という面においては以前よりも重要視され、新たなアイデアの創出や作業効率が上がりやすい自由度の高いオフィスへのニーズが高まる中で、状況に合わせてオフィスを自由に作り替えるアジャイルオフィスへの注目が集まりました。
アジャイルオフィスを導入することで、多様化するオフィスの役割をカバーすることができ、アジャイルな組織へと組織力強化、生産性向上、作業効率の改善などが見込めます。
コミュニケーションの活性化
新型コロナウイルスの世界的流行によって、テレワークが一気に主流になりました。
その結果、働き方の多様化について多くの企業が導入を検討するようになり、同時に様々な課題が浮き彫りになりました。
その中でも「コミュニケーション」に対する課題は多くの業界で取り上げられ、様々な改善案やツールが登場しました。
従来のオフィスからコミュニケーションを活性化させる場としてオフィスを変化させる企業も増加しており、フリーアドレス制の導入や、テレワークとオフィス出社を両立したハイブリットワークの導入が進んでいます。
そうした背景の中、状況に合わせてオフィスを自由にレイアウトできるアジャイルオフィスに注目が集まっています。
テレワークとの両立やアジャイル型組織の促進などもメリットとして挙げられますが、やはりコミュニケーションが活性化のメリットが大きく、生産性の向上や品質向上、従業員満足度の向上など様々な改善が見られます。
柔軟なチーム編成の実現
アジャイル型の組織や働き方を導入することで、組織内に柔軟性が生まれ、プロジェクト単位で迅速な組織を結成できます。
組織の働き方や価値観は刻一刻と変化し続ける物です。
特に昨今では市場の変化も爆発的に早くなっており、2000年代や2010年代と比較しても劇的に変化し続けていることがわかります。
現在もAIの発展によって、さらに働き方が変化していく中で、従来のオフィスでは時代の流れに対応できず、最悪の場合、企業が倒産するリスクまで考えられます。
変化の激しい時代の中で、常に新しい価値観を受け入れながらオフィスを適応させていくのであれば、アジャイルの思想は大いに役立ちます。
変化が激しいからこそ、その変化に乗り遅れることなく、適応する組織体制が企業全体の成長には不可欠です。
そうした背景もあり、アジャイルオフィスは多くの業界で注目を集めています。
しかし、アジャイルオフィスを導入するには、それなりに変化に対応できる広さのオフィスが必要となり、内装工事や新たなオフィス家具の購入などのコストもかかります。
コストをかけられない創業初期の企業や中小企業は少なくないでしょう。
そうした課題を持つ企業にオススメなのがレンタルオフィスを活用したアジャイルなワークプレイスを作ることです。
アジャイル型ワークプレイスについては次項にて解説します。
レンタルオフィスを活用したアジャイルなワークプレイス作り
アジャイル型のオフィスはメリットも多く、企業が抱えている様々な課題を解決してくれるでしょう。
しかし、前述した通り、アジャイル型のオフィスへと変更するにあたって多くのコストが必要になるのも事実です。
そこで、「ABW」「フリーアドレス」「スマートワーク」に加えて、プロジェクト単位でオフィスを作る「プロジェクトオフィス」の考え方を活用したアジャイル型ワークスペースに注目が集まっています。
状況に合わせてオフィスの側に柔軟性の高いワークスペースを用意しておくことで、プロジェクトごとに完全個室の専有オフィスの設計が行えます。
レンタルオフィスを活用することで、コストをかけずにアジャイルなワークスペースを作れる点は大きなメリットです。
アジャイル型ワークスペースは以下の要素によって構成されています。
- 働く場所にとらわれない自由度の高いスペース
- プロジェクト単位で専有の空間及び個室を作れる
- 会議室やラウンジ、カフェスペースなど会話が生まれやすい場がある
ここではレンタルオフィスを活用してアジャイル型ワークスペースを構える方法について紹介します。
レンタルオフィスでワークスペースを拡張する
アジャイル型ワークスペースは『その時の状況に合わせてワークスペースを構築できる』点が従来のオフィスやワークスペースと異なります。
場所にとらわれないスペースを既存のオフィスから生み出すのは簡単にできるものではなく、大掛かりな改装が必要になるケースは珍しくありません。
そこでレンタルオフィスを活用して、既存のオフィスにあるワークスペースを拡張して、アジャイル型のワークスペースを取り入れる企業が増えています。
レンタルオフィスであれば「① 低コストでワークスペースを確保できる」「② 必要な時に会議室やラウンジ等を活用できる」「③ 個室の専有スペースをプロジェクト単位で利用できる」といったアジャイル型の働き方を実現できます。
ワークスペースの拡張という点ではレンタルオフィスは非常に効果的と言えるでしょう。
ハイブリッドワークが実現可能になる
レンタルオフィスはオフィス周辺だけでなく、従業員が住む住宅エリアにもサービスを展開している可能性があります。
そこでオフィス周辺にスペースの拡張としてレンタルオフィスを利用するのではなく、テレワークにも対応したアジャイル型ワークスペースとして活用するのもオススメです。
特に営業職や外部組織と連携して開発を行う必要がある場合、商圏となるエリアにワークスペースを置くことで、状況に合わせてアジャイルな形でワークスペースを作れる点は生産性向上に大きく影響を与えます。
レンタルオフィスであれば必要な時に利用できるため、例えば急遽外部組織とチームを組んでプロジェクトを推進することが決まった際も、早いスピード感で完全個室のワークスペースを作れます。
●まとめ
状況に合わせて柔軟にワークスペースを作るアジャイルオフィスや、迅速に状況に適応するアジャイルワーキングを実現するためには、アジャイル型の働き方を実現できる組織体制や環境が求められます。
レンタルオフィスを活用することで、スピード感が求められる状況下でも、即座に適応が可能になります。
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