新時代の働き方としてパラレルワークが注目を集めています。
従来の一つの会社で定年退職まで働く「終身雇用」とは異なり、複数の組織・業種・事業に属し、複数のビジネスを同時進行する働き方であるパラレルワークは、インターネットの普及やSNSの登場によって以前よりも取り組みやすい働き方となりました。
副業解禁やテレワークの普及によって、より身近なものとなったのも注目される背景の一つです。
キャリア形成にも大きく影響を与えるため、取り組みたいと考えている方は多いでしょう。
本記事ではパラレルワークの紹介と、パラレルワーク時に活用した「レンタルオフィスの活用方法」について紹介します。
パラレルワークとは
働き方の多様化が注目される昨今において、パラレルワークという言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか？
パラレルワークとは『２つ以上の仕事に同時に携わり、どちらも本業として並列に扱う働き方』を指します。
パラレルワークの考え方に対する歴史は古く、現代経営学やマネジメントを生み出した経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した『パラレルキャリア』が語源となっています。パラレルキャリアは必ずしも事業を促進する労働だけでなく、投資や学術的な研究、創作活動、ボランティア・非営利団体（NPO）での慈善活動、など『研究・創作・作業・勉強』といった活動が当てはまります。
終身雇用が主流だった時代から、収入を一つの組織に依存しない働き方へと価値観がシフトたことが注目を集める背景として挙げられます。
また、インターネット上のプラットフォームでの収益化が可能になったことで、個人でもコンテンツを制作し、それをマネタイズすることで収入を得る働き方も可能となった点も大きな要因として挙げられます。
さらにICTによってリモートワークが可能となり、プライベートに当てる時間が増えた点も大きく、ワークスタイルの多様化という社会情勢の変化がパラレルワークという考え方と一致したことで、昨今において話題に上がりやすくなりました。
副業との違い
パラレルワークと近しい言葉として挙げられるのが「副業」です。
副業解禁によって副業を開始することが珍しくなくなったことで、副業を始めたいと考えている方は少なくないでしょう。
パラレルワークと同じく副業も『本業とは異なる仕事による収入源の確保』を目的とした働き方ですが、『本業』と『副業』という明確な優先度の違いがあります。
そのため、複数の仕事に対して『どちらも本業と同じぐらい優先度が高い』働き方であるパラレルワークとは異なります。
副業から始まって、そのまま『両方とも本業と同じ優先度』になりパラレルワークとしてキャリアを進めていく事例は少なくありません。
そのため、副業から仕事を始め、規模が大きくなっていくにつれて、本業としてシフトしていく形で取り組む方も近年増加傾向にあります。
パラレルワークのメリット・デメリット
業種や職種、業務内容が異なる複数の仕事を本業としてキャリアを築く働き方であるパラレルワークに取り組むことで、様々なメリットがあります。
また、複数の事業に取り組む関係上、いくつかのデメリットもあります。
ここではパラレルワークに取り組むことで得られるメリットとデメリットについて解説します。
メリット①パラレルキャリアの形成
ピーター・ファーディナンド・ドラッカーによって提唱されたキャリア形成に関連する言葉で、「複数の仕事に取り組むことで、新しいキャリアを開拓する働き方」となります。
新たなキャリア開拓を行うことで、不確定要素が多い現代社会において、いかなる状況下においても自身の収入源を確保しやすくなります。
現在の仕事で得られないスキルや経験を積むことで、自身が活躍できる範囲を拡大できる点も注目を集めている大きな理由です。
また、自身の「やりたいこと」が見つかりやすくなり、キャリアを見つめ直す機会としても期待されています。
メリット②幅広いスキルの取得
パラレルワークでは『本業と異なる仕事』を行うため、新たなスキルの取得が求められます。
一つの会社・組織に属しているだけでは経験できないような業種や職種の仕事に取り組むことで、幅広い経験を積めるため、労働に対する柔軟性や対応範囲の拡大など様々なメリットを受けられます。
視野が広がることで、物事に対する考え方の幅も広がるため、仕事に対するパフォーマンスの向上が期待できます。
生産性が向上することで、複数の業務に取り組む時間効率も改善されていき、さらにスキルが上がっていく好循環へとシフトしていきます。
メリット③収入源を複数確保できる
パラレルワークのメリットの中で最も大きな要素として「収入源を複数確保できる」点は欠かせません。
終身雇用が不安定となり、いつ収入源が失われるか不明確なリスクがある中、パラレルワークであれば、急に収入源が一つ失われたとしても、他の収入源で対応が可能になります。
そのため、安心感を持って生活することが可能になります。
また、パラレルキャリアを開拓しておけるため、仮に全ての収入源が止まったとしても、複数の仕事に取り組んできたことで得られるスキルや経験から市場価値が高いため転職活動もスムーズに行えます。
メリット④新たなコミュニティ形成が可能
異なる業種・業界で労働することで、一つの会社では出会えない方と繋がれる機会が増加します。
本業だけでは関わることがなかった人との出会いによって新たなコミュニティの形成及びコミュニティへの所属が期待でき、幅広い人脈形成が実現します。
人脈が拡大することで「新たなビジネスの獲得」「新しいビジネスアイデアの創出」「新しいキャリアの開拓」といった機会に恵まれ、より一層自身の活動を彩らせてくれるでしょう。
デメリット①タスク管理が大変
パラレルワークに取り組むことで「キャリア開拓」「スキルの獲得」「複数の収入源確保」「新たな人脈形成」といったメリットがありますが、これらのメリットを得るには『複数の仕事で成果が出る働きをする』必要があります。
そのため、パラレルワーカーには『正確なタスク管理』が求められます。
また、複数の事業全てが本業と同じ優先度となるため、タスク管理を徹底しておかなければ信用に大きく関わってしまいます。
失われた信用を取り返すのは大変な労力を要するため、タスク管理の徹底が非常に大切です。
デメリット②資金面を多く確保しておく場合がある
パラレルワークは複数の収入源を得られるため、生活が安定しやすくなるメリットが挙げられますが、同時に新たに事業を立ち上げる際には資金面を多く確保しておく必要があります。
もちろん、複業の対象となる労働は必ずしも『自身で事業を立ち上げる』わけではないので、多めに資金を確保するのは必須ではないケースもありますが、それでも多くの場合、新たに事業に取り組むにあたって初期投資として資金が必要になります。
一定期間収入がなく、生活に影響を与えるケースも多々起きており、パラレルワークに憧れるあまり、結果として収入源をえら得ずに投資した資金のみ消えてしまうといったことも起きる可能性は大いに考えられます。
資金に余裕を持って取り組むのがオススメです。
デメリット③無理をして体調を崩す可能性がある
パラレルワークを始めると、自身の時間管理が非常に重要になります。
単純計算ではありますが、本業に取り掛かる時間が倍になるため、労働時間が増加してしまう可能性は非常に高いです。
労働時間が増加することで、心身ともに疲弊が溜まっていき、体調を崩してしまうパラレルワーカーは珍しくありません。
そのため、パラレルワークに取り組む際は自身の体調管理の徹底が欠かせません。
体調を崩してしまうと複数の事業全てに影響が出てしまい、最悪の場合全ての収入が止まってしまう可能性もあります。
リスクヘッジとして労働時間の管理は自身で守れるようにルールを決めて活動に取り組むのが良いでしょう。
デメリット④仕事環境の確保が必須
パラレルワークに取り掛かる時に、必要になる要素として「仕事環境の確保」が挙げられます。
仕事に集中できる環境に身を置くことは成果を上げるために欠かせません。
自宅に仕事環境を用意できるのであれば問題ありませんが、必ずしも全ての方が自宅で仕事に集中できる環境下にいるわけではありません。
中には自宅には仕事に集中できるスペースが一切なく、業務に取り組めるのは深夜のみという方もいることでしょう。
そのため、パラレルワークに取り組む際には事業に集中できる仕事環境の確保が必須となります。
そのために労力を使う可能性もあるため、事前に確保のために動いておくのがオススメです。
効率よく仕事をするためにレンタルオフィスを活用する
パラレルワークを実現するためには業務に集中できる空間は必要不可欠です。
ただし、パラレルワーカーの働き方は必ずしも「自身で仕事場を用意しなければならないもの」とは限らないため、場合によっては『別の組織のオフィスで仕事をする』『同じプロジェクト内で共同利用するワークスペースがある』といったケースも珍しくありません。
そこで、今回は『自身で仕事場の確保が必要であるケース』を前提条件として、効率よく仕事をするために活用できるレンタルオフィスについて紹介します。
ここでは最初にレンタルオフィスの特徴について紹介し、次の章で選び方について紹介します。
専有の個室をオフィスとして活用できる
レンタルオフィスは「専有の個室」をオフィスとして利用できるサービスです。
また、執務スペースに加えてデスクやチェアといったオフィスに必要な家具が備え付けられています。
さらに会議室やOA機器、通信環境なども利用できるため低コストでオフィスを構えられるサービスとして多くの起業家や実業家に支持されています。
レンタルオフィスの有効性はパラレルワーカーにとっても効果的で、資金が少ない初期フェーズからでも専用のオフィスを設立できる点は、事業を成長させ、全ての仕事を滞りなく進めるためには不可欠と言えます。
一等地にもオフィスを構えられる
レンタルオフィスは都心部だけでなく郊外や地方とあらゆる場所にあります。
そのため、自身の事業にとって最も通いやすいエリアに構えることが可能です。
また、一等地にも低コストで利用できるため、商圏の中心部となるエリアにオフィスを進出するのもレンタルオフィスであればすぐにできます。
また、一等地にオフィスを構えることで社会的信用性を得られやすいため、事業の成長を加速させる要素として重要になる点も見逃せません。
ランニングコストを抑えられる
レンタルオフィスは利用者同士で同じ設備をシェアすることで光熱費や通信費、機材費、人件費などを抑えた形で利用できるようになります。
パラレルワーカーにとって必要経費を最小限にすることは欠かせません。
レンタルオフィスであれば、オフィスの運営にかかる経費を必要最低限に抑えられるため、ランニングコストを抑えながら事業に集中できるようになります。
より経費を抑えたい場合は、レンタルオフィスを選ぶ際は「発生する固定費」を軸に見てみるのも一つの手段と言えます。
パラレルワーカー向けのレンタルオフィスの選び方
レンタルオフィスを選ぶ際、大きく分けて「環境重視」「コスト重視」「サービス重視」の３つの視点があります。
それぞれ何を重要視とするかによって選び方が変わるため、レンタルオフィスに求める条件を整理した上で、選択するのがオススメです。
環境重視：全ての事業にとって都合の良い場所を選ぶ
パラレルワーカーにとってレンタルオフィスは『全ての事業において効率の良い場所』である必要があります。
そこで、選ぶ際に業務環境に重視して選定することで、作業効率の最大化が見込めるでしょう。
選ぶポイントは以下の点です。
- 天井が空いている半個室型ではなく、完全個室型の執務スペースである
- ラウンジや会議室等を必要なタイミングで利用できる
- 立地条件が自身の事業にとって最も都合の良い場所にある
- オフィスの広さは規模によって自由に変更できる
コスト重視：イニシャルコスト・ランニングコストの視点で選ぶ
利便性も重要ですが、何よりも「コストが低い」ことを重視する場合は、環境重視とは異なる視点で選ぶ必要があります。
具体的に以下の点を重視して確認してみましょう。
- オフィスに通うまでのコストが低い
- 契約時に発生する費用が低い＋更新等で賃料が上がることがないと明言している
- 会議室等のサービスは必要な時にコストが発生する
- オフィス家具や備品の購入が最小限で済む
サービス重視：提供しているサービスの品質から選ぶ
事業を成長させる際に必要となるのは環境だけでなく、自身の抱えるタスクをどれだけ最小限に抑え、事業に集中できる状態にするかが重要です。
レンタルオフィスには事業活動をサポートするサービスを提供している管理会社も少なくありません。
そういったサービス面から選んでみるのもおすすめの選び方です。
以下のようなサービスがあるか確認してみましょう。
- 宅配等を受け取るサービスがある
- ビジネスマッチングや利用者同士の交流会がある
- 助成金等を申請する際のサポートが受けられる
