法人・個人問わずにオフィスを借りられるサービスである「レンタルオフィス」は、通常の賃貸事務所と異なり、リーズナブルな価格で利用できるオフィスサービスです。
専有の個室を利用できるレンタルオフィスの使い方の一つとして「クリエイティブな作業を行うための専用部屋」が挙げられます。
クリエイターにとって作業に集中できる空間は生産性を高め、品質向上に大きく影響します。
本記事ではクリエイター向けのレンタルオフィスの活用方法について紹介します。
クリエイティブな仕事をする人にとって仕事場は重要
クリエイターとは「自身のスキルや能力によって、アイデアや新しいものを具現化する人」を指します。
生み出された創作物には新しい価値が宿り、それを提供することで成果をもらうのがクリエイターの仕事です。
クリエイターがアウトプットする創作物は非常に多様であり、制作に必要な設備や環境は異なります。
しかし、共通して「仕事場」となる空間が重要であり、作業に没頭できる空間はアウトプットの質を高め、品質向上に大きく繋がります。
そのため、クリエティブな仕事をする人にとって専有の仕事場は不可欠な要素であると言えます。
近年では企業や団体に所属するだけでなく、自身でクリエイターとして独立して活動する方も増えており、自宅で制作をするケースが増加してきました。
中には自宅での活動が難しく、カフェやコワーキングスペースを利用する方もいますが、周りの目もあり、集中して作業できない場面は珍しくありません。
そこで注目されているのが「レンタルオフィスを活用した専有の仕事場を作る」という活用術です。
レンタルオフィスであれば通常の賃貸事務所を利用するよりも「イニシャルコスト」「ランニングコスト」を抑えることが可能であり、リーズナブルに利用ができます。
もちろん、クリエイターの種類は多種多様であり、必要な仕事環境は異なりますが、どのクリエイティブ業でも効果的に活用できるポテンシャルを秘めています。
ここからは代表的なクリエイター業とレンタルオフィスの活用術について解説します。
編集・ライター
書籍や雑誌といった紙媒体やWebメディアなどで発信するデジタルコンテンツの制作を行うのが編集者及びライターの仕事です。
編集者は記事や書籍等の企画・編集・進行・管理といったディレクション業務を行うのが役割です。
対してライターは編集者から依頼を受けた内容を元に記事を執筆する仕事です。
同じコンテンツを制作するクリエイターでも扱う工程が違うのがポイントになります。
編集者やライターは、それぞれ仕事内容は異なりますが、作業場としては「デスク」が中心です。
また、資料を確認したり、成果物のチェック及び打ち合わせができる空間が求められます。
Web上で会議や取材をすることも多いため声を出せる環境であり、かつセキュリティが万全である必要もあるため自宅やコワーキングスペースでは難しい場合も珍しくありません。
そのため、レンタルオフィスのような個室の専有空間との相性が良く、作業部屋として活用することで生産性向上が見込めます。
コピーライター
コピーライターは商品やサービスの特徴をまとめ、広告に起用される文言を作る仕事です。
掲載される媒体はチラシやマスメディア広告、新聞、雑誌、ポスター、Webサイトなど多岐に渡り、広告全般における幅広い知識と製品に関する理解が求められます。
コピーライターに必要な仕事環境はオフィスであることが多く、デスクを中心に業務を行います。
レンタルオフィスとの相性が良く、コピーライターとして独立するのであれば作業場所としてレンタルオフィスを活用するのがオススメです。
商品理解のための取材や資料を置く場所はもちろんのこと、会議室等を利用すればクライアントとの会議も可能です。
クリエイティブディレクター
広告宣伝を行う際や、Webサイト制作におけるコンセプトの開発を行い、ビジュアル制作や広告戦略のディレクションを行うのがクリエイティブディレクターの仕事です。
PRしたい商品・サービスの戦略方針を聞いた上で、宣伝する手法を検討し、企画・戦略の提案から制作の進行管理を行います。
そのためクリエイティブ活動における現場監督のようなポジションになります。
仕事場はオフィスだけでなく現場に出向くことも少なくありません。
また、リモートで仕事をすることも少なくなく、中にはインターネット上でクリエイティブチームを結成し、案件の依頼をチームとして受けているケースもあります。
そのため、仕事場としてレンタルオフィスのような対面でもWeb上でも打ち合わせができる環境が必要不可欠となります。
フォトグラファー
フォトグラファーは「商業写真」や「アート写真」を撮影・編集する仕事です。写真の利用目的によって撮る内容は異なりますが、スタジオに出向き、依頼内容に適した写真を撮影する技術が求められます。
また、フォトグラファーの仕事は撮影だけでなく、その後の現像作業が重要になります。
フィルムカメラであれば「暗室」といった専用の部屋が必要ですが、デジタルであればRAWデータを処理する作業となるため、編集できる環境であれば自宅でもできます。
現象作業を効率的かつ生産的に行うのであれば集中できる環境はもちろんのこと、撮影現場との利便性が良い立地に事務所として構えた方がスピードも上がり、品質向上にも繋がります。
そのためレンタルオフィスを事務所兼編集部屋として活用するケースは増加傾向にあります。
イラストレーター
雑誌やチラシ、ポスター等の紙媒体やWebメディア、アプリケーション、ソーシャルゲームなどで使われるイラストを制作するのがイラストレーターです。
イラストレーターにはクライアントからの要望に対して、適した成果物を制作することが求められ、品質はもちろんのこと、自身の個性を活かしつつ、依頼内容に適した制作を行う技術が重要です。
仕事場は自宅でもできますが、作業効率を高めるのであれば専用の仕事部屋は不可欠でしょう。
参照する資料も多く、打ち合わせをする頻度も高いので、レンタルオフィスのような個室空間がオススメです。
情報漏洩によって信頼が失われるリスクもあるので、完全個室型のレンタルオフィスを選ぶことでリスクヘッジにも繋がります。
また、絵を描く仕事として漫画家も近しい職業として挙げられます。
こちらもイラストレーターと同じような仕事環境が求められるため、レンタルオフィスとの相性は良いです。
ただし、漫画家の作業部屋として必要な全ての条件が一致するわけではないので注意が必要です。
映像クリエイター
映像クリエイターは、TVCMやWeb広告、プロモーションビデオ、ドラマ、映画など映像制作を専門としたクリエイターです。
映像クリエイターはプロデュースやディレクションを中心業務とした「制作系」と、撮影、編集、音声などを担当する「技術系」に分けられます。
どちらも現場での指揮及び撮影を行いますが、企画や編集といった作業はデスクの上で行います。
そのため、映像クリエイターには撮影以外の業務に取り掛かれる専用の仕事部屋が必要となります。
使用する機材はPCに加えて複数のモニターや専用機器を扱うこともあるため、広いデスクが求められるだけでなく、防音性・遮音性も重要です。
レンタルオフィスであれば映像クリエイターにとって理想の仕事部屋を直ぐに開設できるため、活用しやすいメリットがあります。
また、YouTuberのような動画コンテンツを制作し、動画プラットフォームを活用して発信を行うのも映像クリエイターの一種となります。
こうした動画クリエイターにとってもレンタルオフィスは編集部屋として効果的です。
サウンドクリエイター
映画やドラマ、CM等の映像作品・広告やゲームやアプリで使用する楽曲、BGM、効果音などを制作するのがサウンドクリエイターの仕事です。
作品の世界観を伝えるのに音楽は不可欠な要素であり、サウンドクリエイターは要望に対して、その世界観にマッチした楽曲を制作する技術力が求められます。
サウンドクリエイターの仕事部屋はレコーディングが可能なスタジオから自宅まで幅広く、使用する楽器も生音からPCによるDTMまで制作スタイルによって必要な設備は変わります。
大掛かりな設備を必要とせず、原則PCのみで完結するDTMのスタイルであればレンタルオフィスをスタジオとして活用することができます。
ただし、大音量で音を流すような設計はされていない場合が多いため、ヘッドホンは必須となります。
システムエンジニア・プログラマー・コーダー
プログラミング言語を屈指してアプリケーションやシステム、Webサイトを制作する仕事もクリエイティブ職に含まれます。
顧客の要望を聞き、要件定義や仕様書を制作する「システムエンジニア」、仕様書に沿ってコードを書く「プログラマー」、Webサイト等を制作する際に必要となるマークアップ言語を専門に扱う「コーダー」に分類されます。
これらの業務にはPC環境が必須となり、独立したSEやプログラマーは自宅で作業を行うことが多いですが、高い集中力が求められるため、自宅とは別で作業部屋を設けるケースは珍しくありません。
レンタルオフィスはプログラミングに集中するのに適した環境であり、通信環境も完備されているため、初期投資が少なくて済みます。
動画配信者
近年注目を集めているクリエイター職の中に「動画配信者」が挙げられます。
動画配信者はオンライン上で動画を使って配信をするクリエイターです。
動画配信者は自室を使って行うことが主流ですが、専用の配信部屋を設けて、集中して制作を行うケースも増えてきました。
レンタルオフィスは動画配信者にとっても必要な環境が整っているため、配信部屋として活用が可能です。
ただし、利用する際は防音性・遮音性の高さを事前に確認しておきましょう。
立てる音が大きすぎるとトラブルに繋がるため自身の配信スタイルと適しているかの見極めは必要不可欠です。
クリエイティブ活動を促進するレンタルオフィスを活用するメリット
紹介しきれないほど多いクリエイティブ職ですが、多くのクリエイターにとって専用の作業部屋は魅力的であり、生産性向上には欠かせない要素の一つです。
本記事では最後にレンタルオフィスのメリットを紹介します。
完全個室のため作業に集中できる
レンタルオフィスの多くは「個室」であり、プライバシー性が高く、セキュリティ性も高いのが特徴です。
また、レンタルオフィスには「完全個室型」と「半個室型」とタイプが分かれており、完全個室型であれば防音性・遮音性の性能も高いため、会議等も気軽に行えます。
集中できる空間を構築しやすいため、自宅と違ってオンオフの切り替えがしやすいのも完全個室型のレンタルオフィスだからこそのメリットです。
物件を選ぶ際は個室のタイプが自身の活動スタイルと適しているか必ず確認しましょう。
交通のアクセスが良い
レンタルオフィスの特徴として交通アクセスの良さが挙げられます。
駅近であることが多く、都心部から郊外エリア、地方にまでレンタルオフィスは存在しています。
自身の活動エリアに適した場所に作業部屋を構えることで、効率的に業務に取り掛かれます。
物件を選ぶ際の注意点として「通いやすいエリア」であるかを確認するのを忘れないようにしましょう。
例えば都心部に事務所を構えたはいいが、都心部に出る必要性がほぼない場合、結局レンタルオフィスを利用しないといったケースは珍しくありません。
自身の活動範囲に適した場所を借りるのがポイントです。
コストを抑えられる
レンタルオフィスは他の利用者とシェアして物件を利用するため光熱費や通信費を安く利用できる傾向にあります。
また、最初からオフィス環境が整っているため設備を揃えるコストも大幅に削減できます。
低コストで作業部屋を構えたい場合、レンタルオフィスであればスピーディかつリーズナブルに開設が可能です。
会議室や共同ラウンジなども利用できるため、工事費なども必要ありません。
また、整備された空間は顧客を招く時の信用性向上にも繋がる点も大きな特徴です。
