サテライトオフィスとは【導入するメリットと効果的な使い方】

働き方改革の推進や新型コロナウイルスの世界的流行、テレワークの普及によって多様で柔軟な働き方の実現が求められる中、サテライトオフィスというオフィス形態に注目が集まっています。
サテライトオフィスを導入することで、労働人口減少への対策、効率的な時間活用、コスト削減、従業員の満足度向上、地方創生への貢献など多くのメリットを享受することができます。
本記事では様々なメリットを受けられるサテライトオフィスの概要や特徴、注目されるポイントを網羅的に解説します。

サテライトオフィスとは何か

サテライトオフィスとは企業や団体、組織の本社や主要拠点地となるオフィスから離れた場所に設置したオフィスを指します。
英語で衛星を意味するsatelliteが語源となっており、本拠点から離れた場所に設置されるオフィスが構成を取り巻く衛星のように見えることから「サテライトオフィス」と呼ばれています。

サテライトオフィスの歴史は1980年代まで遡ります。
当時は本拠点から離れた場所とのコミュニケーションが取れずに成果が出ていませんでしたが、ICT(情報通信技術)の登場で情報共有・伝達が可能となったことで再評価され、現在インターネットの普及とデジタル技術の発展によって多くの企業で導入が進んでいます。

支社や支店との違いとして、サテライトオフィスは従業員の都合や要望に合わせてライフワークバランスを適切にするために利用するのが目的です。
対して支社・支店は設けた地域での営業活動が効率的に行えるようになるのを目的としています。
目的を「多様な働き方の実現」に置くか「効率的かつ効果的なオフィス」に置くかでオフィスとしての役割が変わるのが特徴です。

サテライトオフィスはオフィスを設置する場所によって「都市型」「郊外型」「地方型」の3つに分類されます。
それぞれ役割や機能、メリットが異なり、目的に合わせて適切な場所にオフィスを構えることが大切です。

都市型

都心などの都市部に本社がある企業や団体が同じ都市部にオフィスを設けるスタイルのサテライトオフィスは「都心型」に分類されます。
営業拠点としての機能を持たせることで、通勤や営業活動で生じる移動時間の短縮に繋がり、効率的に業務を行えます。
また、顧客対応もスムーズに行えるため顧客満足度の向上に繋がる点もメリットです。
従業員も自社から近いオフィスに出勤できるため、通勤にかかるストレス軽減といった効果があります。

郊外型

都心から少し離れた郊外地域にサテライトオフィスを構えることを「郊外型」と言います。
通勤にかかるコスト削減に繋がり、従業員は自宅から近い場所から通勤できます。
そのため育児や介護、趣味などのプライベートを充実させることが可能です。
また、郊外周辺地域へのビジネス展開や地方進出などを効率的に進める際にも役立ち、事業拡大における営業拠点地としてもメリットがあります。

地方型

都心部に拠点を持つ企業が地方にサテライトオフィスを設けると「地方型」に分類されます。
本社から離れた地域にオフィスを設置することで地方人材の獲得や、オフィス機能分散による災害時リスクヘッジ、地方出身従業員の多様な働き方の実現などメリットがあります。
また、地方進出を図る際にも地方型サテライトオフィスは拠点地として効果的です。

サテライトオフィスが注目される背景

サテライトオフィスの導入を希望する企業が増える背景として「多様化する働き方」「オフィス機能の見直し」「デジタル技術の発展」「BCOへの対応」が挙げられます。
ここでは注目される背景を紹介します。

働き方の多様化

日本が抱える社会問題として少子高齢化に伴う労働人口の減少があります。
多くの企業は労働力を確保することが難しく、労働者側も従来のスタイルの働き方では育児や介護などの要因で働くことができないという問題がありました。
様々な背景を持つ方に対して柔軟なスタイルでの働き方を実現するためにサテライトオフィスは注目されています。

オフィス形態の増加

近年オフィス形態は従来の事務所を構える形だけにとどまらず、レンタルオフィスやシェアオフィスなど様々なオフィス形態が普及し始めました。
従来のオフィスと異なり低コストで利用できるため、資産を持つ企業だけでなく、大小問わず様々な企業がオフィスを設けやすくなります。
そのため、企業は低コストでオフィスを構えることができるようになったためサテライトオフィスの導入が進むようになりました。

クラウド型の業務システムの普及

企業が業務を進めるために必要になる業務システムは従来であればオフィスへ出社しなければ利用ができませんでした。
しかし、クラウド技術が発展したことでクラウド型の業務システムが普及し、サテライトオフィスでも業務システムを活用することができるようになります。
会計や在庫管理、勤怠管理を行う基幹システムも営業管理や顧客管理を行う情報管理システムもクラウド上で行えるようになることで、地方や郊外にオフィスを構えてもスムーズに事業を進められるようになりました。

BCP(事業継続計画)への対応

BCPとは企業が台風や震災、パンデミック、テロ攻撃、大規模な情報漏洩のような緊急事態に対して事業継続をするための計画のことを指します。
1つのオフィスに依存せず、柔軟で多様な働き方を実現し、災害時のリカバリーが可能になるサテライトオフィスはBCP対策として注目されています。
従業員が働きやすい環境提供に加えて、BCP対策として導入する企業が増えています。

サテライトオフィスを導入する9つのメリット

サテライトオフィスを導入することで多くのメリットを得ることができます。
ここでは代表的な9つのメリットを紹介します。

テレワークにおける生産性向上

ICT技術を活用し、本社や支社ではなく自宅や隔離されたオフィスで仕事をする業務形態であるテレワークは、新型コロナウイルスの流行も重なり一気に普及し始めました。
在宅ワークとして注目されることが多いテレワークですが、本拠地から離れたオフィスへの勤務も含まれます。
在宅ワークと異なり、通勤が発生しますが自宅近くのオフィスのため通勤時間は短いためストレスは低く、仕事とプライベートのオンオフの切り替えがしやすい環境という特徴があります。
また、高いセキュリティ性や通信環境の安定を持つため、自宅よりも効率的に業務を進めることができます。

経営コストの削減

サテライトオフィスは支社や支店を運営するよりも低コストで運営可能なため、経営コストが大幅に削減できるメリットがあります。
また、従業員の通勤や営業活動で発生する移動コストも抑えることが可能です。
移動コストが削減されれば、今まで移動に費やしていた時間を稼働時間として活用できるため、収益増加へ繋げられる点もメリットとして挙げられます。
地方や郊外地域であれば都心部よりも賃料が低い傾向にあることも経営コスト削減に影響します。

育児介護による離職の対策

少子高齢化によって労働者の減少が社会問題として挙げられる中、「育児」「介護」を理由として離職は企業として対策したい項目の一つです。
柔軟な働き方を実現するために、郊外地域や地方にサテライトオフィスを構えることで、育児や介護に合わせた柔軟な働き方を実現することができます。
働きたくても働けなかった従業員にとってもサテライトオフィスはメリットが大きいため、従業員満足度に大きく貢献します。

本拠地から遠方の人材確保

サテライトオフィスは働く場所を都心部にこだわらず、様々な場所で仕事ができるようにできます。
地方に設けることで、都心部では採用ができなかった地方人材の採用活動を促進できます。
従来であれば支社や支店を構えなければ地方人材の採用は実現が難しかったため、コストがかかるものでしたが、サテライトオフィスは低コストでオフィスを構えられるため、こうしたコスト面での課題を改善できます。

顧客の新規開拓や事業拡大の拠点になる

サテライトオフィスを活用することで都心部以外の地域にもオフィスを構えることができます。
顧客の新規解約や事業拡大をする際にサテライトオフィスを活用することで、移動費を削減しながら効率的な営業活動や顧客のフォローが可能です。
その結果、事業拡大に貢献し、新規顧客を獲得しながら新しいビジネスを展開することができます。
業務遂行に柔軟性を持たせ、取引先との関係値構築に役立ちます。

災害時のリスクヘッジ

災害発生時に拠点地が被災した場合、通常であれば事業は停止してしまいます。
サテライトオフィスを構えることで、被災した際のバックアップオフィスとして活用することができます。
企業資産やオフィス機能を分散することで災害時の損失を最小限にし、中核となる事業の早期復旧や事業継続が行えます。

地方創生への貢献

サテライトオフィスは地方創生に大きく貢献するとして期待されています。
地方にサテライトオフィスを構えることで、地方への住居者増加や地域活性化に影響を与えるとされ、総務省などの省庁や地方自治体から注目されています。
地方創生として助成金を出している自治体も多く、社会貢献としてサテライトオフィスを設ける企業も増加しています。

新しいコミュニティが広がる

サテライトオフィスを設ける際にレンタルオフィスやシェアオフィスといった形態のスペースを活用しますが、それらのオフィスには「共同スペース」が提供されていることがあります。
共同スペースでは入居者同士のコミュニケーションが活発に行われるため、新たなコミュニティを作るきっかけとして機能することがあります。

CO2削減等の地球温暖化対策

サテライトオフィスを運用することで、結果的に環境問題への対策にも影響を及ぼすと期待されています。
不要な出張や移動を減らすことでCO2の削減に貢献し、地球温暖化対策に繋がります。
企業が取り組む環境対策の活動としてもサテライトオフィスは効果的なため、導入を検討する企業は増加しています。

サテライトオフィス導入時の課題

サテライトオフィスで得られるメリットは多いですが、同時にいくつかのデメリットもあります。
その中でも特に大きな課題として挙げられるのが「本社とのコミュケーション不足」と「情報漏洩」「ワークフローの見直し」の3つです。

本社とのコミュニケーション不足

本社との物理的な距離が離れているため、コミュニケーション不足は課題として挙げられます。
近年ではチャットツールの普及やクラウドを利用したストレージシステムなどによって情報伝達がスムーズに行えるようになったため、コミュニケーションそのものが取れないという課題はありません。
しかし、リアルタイムでの情報共有は課題があるため、意図的にコミュニケーションを取るように仕組みを構築する必要があります。

情報セキュリティの課題

共同型のオフィスを利用している場合、情報漏洩が発生するリスクがあります。
鍵付きの個室や防音性の高い会議室があっても油断をせずに、機密情報は外で話さないなどのルールをしっかりと決める必要があります。
また、セキュリティ対策への意識を従業員全員が持っている必要があるため、定期的な研修やチェックが必須となります。

ワークフローの見直し

本社と離れていることで、ワークフローが異なる点も課題として挙げられます。
通常、本社よりも工程が多くなるため、ワークフロー自体が遅くなり、作業効率の低下が見られます。
申請をスムーズに進めるシステムの導入といった改善策が必要になります。

まとめ|サテライトオフィスを導入するならレンタルオフィスがオススメ

個室コワーキングスペースを活用することで、テレワーク・リモートワークを快適に進めることが可能になり、自宅やカフェでは実現が難しい「仕事に集中できる環境」を実現可能です。
オンライン上での会議や商談においても周囲の目を気にする必要がない点も魅力です。
また、完全個室のためセキュリティ対策も万全な点も個室コワーキングスペースを利用するメリットとして挙げられます。

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